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経理規程と実際の業務を整合させることの重要性

経理規程に記載されている事項と実際に実施している業務に乖離が生じていませんか?おそらく、ほぼすべての社会福祉法人がモデル経理規程を参照して、自法人の経理規程を作成しているのではないでしょうか。

モデル経理規程には、例えば、以下の事項が記載されています。

「出納職員は、現金について、毎日の現金出納終了後、その残高と帳簿残高を照合し、会計責任者に報告しなければならない。」

出納職員の方は毎日会計責任者(通常、施設長)に報告をしていますでしょうか。毎日、報告が可能な施設もあるとは思いますが、施設長が外出等している場合は難しいこともあるかと思います。

仮に毎日実施されていない状況が監査で発見されると、「規程では毎日となっているが、毎日実施していない。整備した規程と運用が乖離している」と指摘されるケースがあります。

もし、この指摘を受けた場合、どのように対応しますか?

「毎日実施するようにします(規程の通り実施します)」

と言ってしまうケースが多いのではないかと思います。

しかし、ここで考えてみてください。モデル経理規程はモデルにすぎず、また、規程は法律ではありませんので、自法人の意思で変えられます。規程が自法人とマッチしないケースは適宜書き換えてしまえばいいのです。つまり規程に合わせるのではなく、規程をかえてしまうのです。

内部統制の不備には二つのケースがあります。「整備上の不備」と「運用上の不備」です。

整備上の不備とは、一定のリスクが存在する業務について、そもそも業務に関するルールがなかったり、ルールはあるが実態にマッチしていなかったりするケースです。運用上の不備とは、ルールは適切であるが、現場がルール通りに動いていないケースです。

毎日報告していないことが「運用上の不備」なのか、あるいは、「整備上の不備」なのか。すなわち、ルールを守っていないのが問題なのか、ルールが管理実態とマッチしていないのか。この点はよく見極める必要があります。

このルールは自法人の実態に照らして適切なルールなのか?と考える視点が重要です。この視点に立って考える際は、なぜそもそもこのルールができたのか?も考える必要があります。

上記の例以外にも、以下の規定については、実際の運用と整合していないケースをよく見かけますし、所轄庁の監査で指摘されているケースもあります。

●小口の支払いは、定額資金前渡制度による資金をもって行う。小口現金は、毎月末日及び不足の都度精算を行い、精算時に主要簿への記帳を行う。
⇒支払いの都度、主要簿へ記帳している場合は、規程と乖離しています。

●会計責任者は、毎月、期限どおりの回収又は支払いが行われていることを確認し、期限どおりに履行されていないものがある場合には、遅滞なく統括会計責任者に報告し、適切な措置をとらなければならない。
⇒少し遅れただけでも、少額であっても、統括会計責任者の承認が必要という意味です。

●基本財産以外の固定資産の増加又は減少については、事前に理事長の承認を得なければならない。
⇒簿価1円の器具備品でも理事長の承認が必要なので、そうしていない場合は、規程と乖離しています

●固定資産管理責任者は、毎会計年度末現在における固定資産の保管現在高及び使用中のものについて、使用状況を調査、確認し固定資産現在高報告書を作成し、これを会計責任者に提出しなければならない。
⇒現物確認をしていなかったり、していたとしても基準日が3月31日になっていない場合は規程と乖離しています

●契約書の作成を省略する場合においても、特に軽微な契約を除き、契約の適正な履行を確保するため、請書その他これに準ずる書面を徴するものとする。
⇒「特に軽微」の基準を所轄庁が指定しているケースもあるようです。この規定があると、100万円未満であることを理由に契約書の省略をしたとしても、請書のようなものが必要ということになります

乖離したまま放置すると指摘されるケースがあるので、経理規程を改めて確認し、規程通りになっているか、なっていない場合はルールを徹底する、あるいは、ルールが適切でないのであればルールを変えることが必要です。実際の業務と規程が整合していないと、使えない経理規程となってしまい、参照されなくなります。結果、各拠点で処理にバラつきがでるなどの問題が生じてしまいます。

あすの監査法人

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